大学に入学してから、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックで、これまでの常識を覆すような社会変化、予測不可能な将来に、とまどう不安な毎日を過ごしてきました。
なぜ不安だったのだろうかと考えたときに、人は「目に見えないものほど怖いものはない」と、必要以上に実体のないものに不安を抱きがちである一方、「自分が見たいものしか見ようとしない」と言う(ユリウス・カエサル)言葉を思い出しました。
激しい変化に行動を起こす余裕も持てずに、実際にはない差異に手っ取り早く優劣をつけるばかりで、本質を見ることを諦めていたのかもしれません。
Corpo senza l’anima(魂のない体)は、イタリアの国民的作家、Italo Calvino(イタロ・カルヴィーノ)【1923年10月15日 – 1985年9月19日】がイタリア各地で集めた「イタリア民話集」の中の民話の一つです。
一人の青年が成長して、魔人に囚われていたお姫様を救うと言うイタリアのおとぎ話です。魔人は、絶対に死ぬことはないように、自らの魂を森の動物の中に隠していました。主人公の青年は、真実を見抜く洞察力と、現状を打破する行動力で魔人の魂を捕まえます。お姫様が、心配する演技で魔人を誘惑して、魂のありかを聞き出す下りは、イタリアの民話ならでしょうか。
私にとって、公正とは、イノベーションとは、を考える時に、人間の本質「善悪や道徳を判断する理性」、「知ったり考えたりする知性」、「生まれつき持っている本能」を再確認するために読み返す話で、やわらかなフィルターに隠れた、その「奥の存在」を意識することで、多くのものが見えるということを教えてくれます。
はっきり見えないものを表現するにあたって、この魂のない体の登場キャラクターを着物や帯のモチーフにすることで、新しい着物の表現ができるのではないかと考えました。









